Introduction
「あさってDANCE」「BLUE」「ありがとう」「レッド」など過激な描写とメッセージ性の強い作品で熱狂的なファンを獲得し「レッド」では第14回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した経歴を持つ鬼才漫画家・山本直樹の“伝説の漫画作品”「夕方のおともだち」をエロティシズムのマエストロの異名を持つ廣木隆一が完全映画化した。
SMの女王様・ミホとドM男・ヨシダヨシオが繰り広げる崇高で郷愁漂う男と女の不思議な愛のカタチのヒューマンラブストーリー。
ドM男ヨシダヨシオ役に廣木組には欠かせない村上淳。女王様ミホ役に『赤い雪』(19)で凄まじい演技で絶賛された菜 葉 菜。音楽は村上淳や廣木隆一と親交が深くNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13)や『花束みたいな恋をした』(21)などで知られる大友良英、さらに大橋トリオのバラード「はじまりの唄」がエンディングテーマとして流れ、激しいけれど切ない愛のアレンジが心奥深く染みわたる。新型コロナウィルスの終息が未だ見えず不安が漂う今の世界で本作が描き出すのは、肉体的には傷つけ傷つきながらも自由な精神を謳歌するアンビバレンツな男と女の関係である。予想外のラストに待つのは男女を問わず感じずにはいられない“癒しと愛”。そこに見える未来への希望が、不安定な現代に生きるすべての者へのエールとなる作品が誕生した。
Story
ヨシダヨシオは寝たきりの母親と暮らし、市の水道局に勤める一見真面目な男。一方で筋金入りの”ドM“な一面を持ち、夜な夜な街で唯一のSMクラブへ通いつめ”女王様“ミホからお仕置きを受けている。
しかし、ここのところどうもプレイに身が入らない。その理由はヨシオには分かっていた。ヨシオをこの世界に目覚めさせ、突然目の前から姿を消してしまった”伝説の女王様“ユキ子が忘れられず、いつもどこかでユキ子の残像を追いかけながら暮らしていたからだった。
そんなある日、明るい太陽のもとミホと埠頭で釣りをしていると、思いもしない所で彼女を見かけ、ミホを置き去りにしてユキ子を必死に追いかける。ヨシオがたどり着いた果てにあるものとは…。そしてヨシオとミホに待つ結末とは?Comment
山本直樹さんの原作に初めて出会った時の印象は何気なく過ごしている日常の大切さや人との距離を考えさせてくれるものでした。自分が大切にしてるものや自分が生きてると実感させてくれる瞬間を表現してる事でした。自分の秘密の花園はここにあるとドキドキした事でした。振り返るにはまだ早すぎるだろう、キャストや大橋さんの唄にはギリギリでも生きていけるそんな勇気を与えてもらえる。
監督:廣木隆一
「夕方のおともだち」原作/山本直樹 、監督/廣木隆一。そんな素敵な企画と出会ったのは7年前。この映画にだけは出たいと思った。
それからの道のりはあまりにも長かったが、必ず実現できると信じモチベーションが落ちることは一度もなかった。待って待ってひたすら待ち続けた。
そしてたどり着いた地は今まで見たことがないような美しい夕焼けに覆われていた。
廣木監督、村上淳さん、そしてご尽力頂いた全ての方々に心から感謝です!
一日も早く、多くの皆様とスクリーンでお会いしたいです!
You've Got A Friend ! !
菜 葉 菜
山本直樹インタビュー
(2009年 イースト・プレス刊『夕方のおともだち』収録)
前編
タイトルの元ネタはキャロル・キングの「you’ve got a friend」ではなくて、それを(タイトルだけ)パクったダディ竹千代&東京おとぼけキャッツの「夕方フレンド」。しかもその曲聞いたことなくて「そういう歌があるらしい」という友達情報のみ(1980年代)。さっき編集さんからメールもらって、たった今初めてyoutubeで見ました。名曲ですね。「ドMになっていろいろお仕置きを受けるのだが当然気持ちよくない」という夢を見まして、その辺から「醒めかかりのMの話を書こう」と。そういえば「Mが醒める」という話は昔、原律子さんのマンガにあったような。今思い出しました。元気かな-原さん。SM趣味はほとんどなくて、これもSM雑誌数誌をさらっと読んだぐらいのぬるい取材体制でした。あ、でも編集さんに大人のオモチャ屋の写真を撮ってきてもらったな。編集さん(メスの記号)は嬉々としてましたが。冒頭のフレーズは糸井重里が何かのエッセイで言ってたんだっけな?冒頭の夕景は吉祥寺の無印良品ビルのあたりかな?いるか市は海馬町のその後ということで一応フラグメンツサーガというか、勝手に自分でそう思ってます。街景は室蘭とか、江差とか、聖蹟桜ヶ丘とか世田谷とか適当に混ざってます。料理屋は架空ですが。
[初出:1995年ビッグコミックスピリッツ10月増刊(10月12日号)]
中編
当時RAMディスクというとっても不安定な記憶媒体に頼ってまして、プリント後3ページ分ぐらいのデータが電子の泡となって消えました。なのでその部分は単行本をスキャンして描き直しました。さてどこでしょう?余所でも書きましたが、背中から膿のシーンは実際にテレビで見たことがあります。冷戦終了直後のアルバニアのドキュメンタリーで、無医村をかけずり回る医者が、病気の老人を切開すると…てなシーンでした。「すごい臭いです」と実況してました。
[初出:1995年ビッグコミックスピリッツ11月増刊(11月9日号)]
完結編
痛いシーンは描いててハイになりますね。疲れるけど。なんでSMの話に選挙をからめたんだろう?今となっては全く思い出せません。
[初出:1995年ビッグコミックスピリッツ12月増刊(12月14日号)]
原作:山本直樹
僕はこれまで人に尊敬もされ、軽蔑もされてきたそんなごく当たり前の人生を送ってきています。
疾走感に駆られた20代。多角的な不安と過ごした30代。
そしてそれら全てが”糧”となった40代。
50代はどうなるのか。その答えはいつもスクリーンにあるように感じます。
尊敬も軽蔑も受け入れることはできたけれどスクリーンにそっぽを向かれるような日々を積み重ねてはいけないとここまでなんとかやってこれてるのかもしれません。
この作品の立ち上がりから上映までの経緯は他のテキストに記されているでしょうから僕からは発しません。
ただ廣木隆一監督に感謝しかありません。
村上淳
Cast Profile
村上淳
Jun Murakami
Profile >
菜 葉 菜
Nahana
Profile >
好井まさお(井下好井)
Masao Yoshii
Profile >
鮎川桃果
Momoka Ayukawa
Profile >
大西信満
Shima Onishi
Profile >
木口健太
Kenta Kiguchi
Profile >
宮崎吐夢
Tomu Miyazaki
Profile >
田口トモロヲ
Tomorowo Taguchi
Profile >
Azumi
Wyolica
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烏丸せつこ
Setsuko Karasuma
Profile >
Staff Profile
廣木隆一
Ryuichi Hiroki
Profile >
大橋トリオ
Ohashi Trio
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